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私はこうして開業した!実は私、おとといまで派遣社員でした

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一昨日、派遣社員として4年間勤めた職場を退職しました。

「いやいや、あなたフリーランスの漫画家なんでしょ?」と言われれば、それはその通り。
漫画家をやりながら、派遣社員をやっていたわけです。
いわゆる『2足のわらじ』状態ですね。
驚いたか、わははははー。

WEBにおける発言はそのまま公言となってしまうので控えていましたが、実際の場で私はその事実を、そんなにひた隠しにはしていませんでした。
それほど恥ずかしいとも思ってなかったですし。
そのへんの意識の低さは褒められたことではないかもしれませんが、なんとか「やらないよりはやった方がいいよ」といういい話に持っていきたいところ…!

もちろんこのやり方が正しいと広め伝えるつもりはありませんが、起業する際のひとつのケースとして紹介しておこうと思います。

私が漫画家として開業届を出したのは、2011年7月。
約4年前です。

勤めていた広告代理店を退職し、家庭の事情で故郷石川で半年間過ごした後、東京に戻った直後でした。
いずれ広告漫画家になるという目標を持って就職した広告代理店ではありましたが(それまでの経緯はこちら)、勤めている期間に独立準備をしていたわけでもなく、開業した段階ではわたしはただの「無職」だったのです。

開業というと、会社勤めの方や勤めていらっしゃらない方からすると「すごい!準備とか資金とか大変なんでしょう?」と思われるかもしれませんが、開業するだけなら簡単です。
前述の通り、税務署に開業届を出すだけです。

しかし開業したからといって、勝手に仕事が来るわけでも給料が入るわけでもない。
だから大抵は、事業計画を立てたり、融資を受けたり、宣伝したり、ご想像の通り色々準備を頑張るわけです。

けれどどんなに頑張っても、起業において『完璧な準備』なんてないんです。
入念に計画を立てても、その通り行くかもわからない。
だからどこかの段階で見切り発車をしないと、いつまで経っても開業なんてできないのです。

だったらとりあえず先に開業して、やりながら考えよう。

それが私の結論でした。

そんな風に気軽に開業に乗り出せたのは、私の事業内容が漫画家・イラストレーターだったからでもあります。
必要なのは知識と腕と、仕事道具のパソコンだけ。
店舗や事務所を構えたり、売るものや材料を仕入れたり、そういう類いのこともなし。
(成功するしないは別として)環境的には、始めるのが簡単でリスクの少ない業種であったことは違いありません。

あとは安定するまで、どうやって食い繋ぐか。
多少の貯金はありましたが、それに頼っても底をつくまでに生活できるだけの収入を得られるかはわからない。
じゃあどうするか。

もうひとつ仕事を持とう。

私にとっては、簡単な話でした。
だから私は起業家じゃないんですよ。
「派遣やりながら独立なんて、独立じゃない!そんなのフリーターと一緒じゃないか」と人に思われても、全く構わないのです。
「今」大事なのは生きることと、漫画の仕事を始めること。頑張ってりゃそのうち独立することになるでしょ。
そんなもんでした。

とは言ってもどっぷり派遣の仕事に浸かることは、自由な時間が無くなるという意味でも、安定した収入でハングリー精神がそがれるという意味でも危険なので、仕事はかなり慎重に選びました。

そのおかげで大手メガバンクに「月に15日」「自由シフト」「1日5.5時間」「残業ほぼ無し」という職を探し当て、平日休みの日に打ち合わせをこなしたり、出勤の日でも前後に原稿をしたり、かなり自分で時間のコントロールをすることができました。

また上記の条件では、東京で一人暮らしをする生活費は到底賄えませんので(この条件で働く人は、私以外は皆夫、家族のいる方でした)、漫画の方も頑張らないと死にます(笑)
その一方、毎月決まった額が収入として入るというのはやはり安心感が違います。
フリーランスはうまくいっている場合でも、収入に波があるのが普通ですから。

わらじの片方として、かなり理想的な環境を用意できたと思っています。

同期入社の仲間がいたこともあり、派遣の仕事は楽しかったです。
その日の仕事はその日のうちに終わるので次に持ち越すことが無く、本業との頭の切り替えもスムーズにいきました。
メガバンクという巨大組織の一部で働くという経験もなかなか貴重でしたし。

ただやはり派遣もやっていると言うと、「仕事無いんじゃないか(これは事実ですが)」「片手間で漫画をやっているんじゃないか」「〆切に間に合うのか」とクライアントに不安を与えてしまう恐れがあるので、やはりそんなにおおっぴらに言うことはしませんでした。

当然、派遣のせいで〆切に間に合わなかったり、〆切のせいで派遣をずる休みするようなことはありませんでしたけどね。
(〆切がヤバい時はプライベートを極限まで削るのみです…)

この度その派遣を退職したのは、一応この仕事一本で何とかなりそうな目処がたったからです。
おめでとうございます。ありがとうございます。

とは言え、もし「来月ヤバいなー、食えないなー」という時期がくれば、たぶんあっさりどこかでバイトでもするでしょう(来ないことを祈りますが)。
気楽なもんです。

ただ決めていることはひとつだけ。
仕事があろうが無かろうが、バイトをしようが、私はこの仕事で生きていく。

絶対に成功してこれまでの人生巻き返してやるという強い意志が無い代わりに、私にはこの仕事向いてない…なんて挫折することもないのです(笑)

自分で読み返しても、こんな「ぬるっと開業した話」が役に立つのか疑問ですが、ひとつの区切りだったので記録しておきます。

独立したいけど、やれるかどうか自信が無い。
準備不足だし、自分の実力で仕事になるかもわからないし…。
そんなアナタに「あ、こんな適当に開業する人もいるんだな」とほっとして頂き、そっと背中を押すことができれば本望です。

これからより一層、皆さまのお役に立つ為精進してまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願い致します。