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心から好きなことを仕事にしている人には勝てないけど、そもそも別に勝たなくたっていいんじゃない?

18jan11

これは漫画家になりたくてなれなかった私の敗北宣言であり、それでも漫画を描いて生きていく私の揺るぎなくゆるい行動指針です。

漫画家やイラストレーターには、仕事中のストレス発散や息抜きに絵を描く、という人がたくさんいます。
プロじゃなくても、twitterでバンバン絵をあげてる人はそういう人もそういう人が多い。
描くことが好きだから描く。

私は、認めたくはないですが「描かなければ描かずにいられる」タイプなので、そういう人たちがうらやましかった。
漫画を描くことはもちろん好きですが、息をするように描いてしまうわけじゃない。
私が本当に好きなことは、漫画を描くことではなく、「漫画を描いて褒められたり、役に立ったり、お金をもらうこと」なんだと思います。

ももクロを含むアイドルやアーティストに楽曲を提供している、音楽プロデューサーの前山田健一(ヒャダイン)さんという方がいます。
この方は歌い手の個性や曲のテーマという素材があれば、だいたい1日で曲を書き上げてしまうそうです。
けれど、自分発信で曲を作ろうとすると、これがなかなかできない。
(彼はそんな自分をアーティストではなく『職業作家』だと言って笑っていたけど、前山田さんの場合はもちろん引く手数多、第一線で活躍するクリエイターです。)

私も前山田さんと同じ。
内側からくすぶり出る何かをどんどん形にしていく漫画家には到底なれなかった。
人やサービスといった元からある素材を作品にする広告漫画だから、「対価を得られる」という金銭面込みで活動としてやっていくことができた。

私は広告漫画が好きで好きでたまらない、というわけじゃない。
でも「私にはあっているな」とは思います。
漫画を描くことがそこそこ好き、企画提案もまあまあ得意、人と話すのが苦手じゃない、誰かの力になりたいという気持ちも多少ある。
そんなゆるゆるとした気持ちに、いろんな知識を装備させて、広告漫画家という仕事にしているだけなんです。
そしてそんな私でも、確かに必要としてくれるお客さんたちがいる。

ほっといても漫画を描いてしまう人に、私は漫画家としては絶対に勝てない。
でも、そもそも勝ちってなに?
そこにぼんやりとしたうらやましさみたいなものはあるけど、努力して同じステージに立ちたいかと言われると、それより今の方が合っていると思う。

自分に多少でも好きなことがあって、得意なことがあって、それを仕事にできてるなんてラッキーな人生だ。
嫌なことより、楽しいことの方が断然多いし。
そう思いながら、私はこれからも漫画を描いて生きていくのです。

なんとなくやりたいことはあるけど、すごい人がたくさんいるし、自分にやれるかどうかわからない…という人へ。
この世は別に「寝ても覚めてもそのことばかり考えている一流の人たち」と「なんの愛もないが儲かるのでビジネスでやっている人たち」のふたつでできているわけじゃないんです。
そしてお客さんも、「最高レベルのプロしか認めない人たち」と「こだわりとかいいから安ければいい人たち」みたいに両極端なわけじゃない。

その狭間で、自分が好きなことで生きやすい道を見つけてあげればいいんです。
せっかく持っているその「好き」の気持ちを否定せず、うまく活かして、私は生きていきたいと思います。