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着物学校で数十万の着物を買わされた話

151012

以前に趣味で着物を習っていた時期がありまして。
思い出して腹が立ってきたので、着物を買わされた…、いや、買った…

やっぱり買わされた話を書きます。

そもそも着物を習おうと思ったきっかけは、家に着物があるから。
ただそれだけでした。
せっかくあるのに着れないともったいないなあと。
だから人に着付けできるようにとか、お免状欲しいとかは全くなくて、ただ自分が着られるようになれればよかったんです。

今だったら口コミとかもう死ぬほど調べて学校を選ぶんですけど、ちょっと昔の話なんで、安くて駅近で通いやすいという理由だけである有名着付け教室を選びました。

先生はとっても優しくて、周りもみんな初心者。
憧れの着物に袖を通し、キャッキャと楽しくやっておりました。
ただし入学金、受講料が格安だった代わりに、その学校オリジナルの着付け用器具が回を追うごとに必要になりちょっと不満には感じていましたが…。

授業が中盤にさしかかってきたある日のこと。
まだ半分以上時間が残っているのに、先生が今日の稽古はここまでです、と言うんです。
教科書で着物の産地の種類は勉強したけど、やっぱり本物を見比べないとね、と言われ案内された別室には、所狭しと広げられた着物や反物…(産地の人付き)。

最初は先生がひとつひとつ説明してくれたり、職人さんが特徴を教えてくれたり、授業の一環っぽい雰囲気出してたんですよ。
しかしそのうち先生が言い出すわけです。
「着物は着てみないとわからないんですよ。反物を当ててあげますから、皆さん好きなものを選んで下さいね。」

ちょちょいと腰紐で着物っぽく反物を着付けてもらって、みんなご満悦。
すかさず先生、「生徒さんはうちの特別価格で買えますよ」

まあ、そんなこと言われたって、じゃあお願いしますとはならないですよ。
…その日は。

しかしそういう授業と称した販売会が、その後も度々入ってくるんですね。
当然こっちは着物に興味があって通ってるわけだし、欲しくないわけが無いんです。
しかも徐々に自分でも着られるようになってきている。
そこでまた先生が言うわけです。
「着物は一期一会だから、気に入ったものにもう1度会えることってまず無いんですよ」
そのあたりで、ちらほら買う子が出てきます。

販売の時間を授業に組み込んで軟禁状態にするあたり気に食わないんですが、まだここまでだったらいいんですよ。向こうも商売ですから。
さすがに無知だった私も、その頃には「安い学費でとにかく生徒を呼んで、着物を買わせることで儲かる仕組みなんだな」と理解していました。

ただ、「買わなきゃ済む話だ」と思っていたのが甘かった。
回を追うごとにプレッシャーとか、「すごく似合ってる!」といったほめ殺し攻撃とか、すごくはあったんですけど、なんとそこを超えると

まだ買っていない生徒を冷遇するような雰囲気が出てきたのです。

そう言えば百万さんもまだ買ってないですね、と名指しで言われたり…。

やり辛いったらありゃしない。
あんなに優しかった先生が、もはや悪魔の手先にしか見えません。
けど授業は後半まで来てるわけで、ここでやめるわけにもいかない…でもこの雰囲気は正直きつい…。

元々そんなにメンタルは強くありません。
自分なりに粘ったのですが結局心が折れ、勉強代だと思って買うことにしてしまいました。

安くても十万単位です。
どうせ買うならいいものを!と思いますが、着物を習い始めたひよっこが善し悪しなどわかるわけがありません。
今だったら最初の一着として地味な色の江戸小紋(地味ながら万能な着物だと思って下さい)とか選ぶんでしょうけど、もう好みで選ぶしか無いんですよ。
案の定選んだ着物は当時の趣味全開で、今ではとても着ようと思わない色柄でした。

私は貯金から一括で買いましたが、若い子はみんなローンを組まされていたと思います。

「お金が無い」と言った学生の子が、親にダメと言われておばあちゃんにまで電話させられたり、まともな着物も持っていないのに羽織を買わされたり…本人は納得して買っているつもりかもしれませんが、先生たちの甘い言葉に乗せられているとしか思えませんでした。
恐らく先生たちにも、結構なノルマが課せられてたんじゃないでしょうかね…。

結局初心者コースは最後まで終えましたが、上級コースへの執拗な勧誘を断るのがまた大変で、最後までしんどい教室でした。

購入した着物は見る度に嫌な気持ちになり、結局数年前に売ってしまいました。

買う時は数十万でも、売る時は二束三文なのが着物の世界。
それでも手放したことで気持ちがすっきりしたので、処分して良かったです。

もちろん着物教室全てがそんな運営をしているわけではないでしょう。
そこは特にひどかったんだろうとは思います。

ただこれは「安いからには裏がある」とかそういう単純な話ではなくて、せっかく興味を持った着物そのものに対して、嫌な想いを抱かせるに充分な体験でした。

その後また別の教室に通ったり、広告代理店のお客さんである他の教室について知ったりして、閉塞的な着物業界に残念な想いをすることになるのですが…。
それはまた別のお話。