2025年3月、群馬県みなかみ町の「後閑駅ナカ学習室」で開催された、地元中高生向けのトークイベントに登壇しました。
この学習室はその名の通り、無人駅となった駅の元駅務室を改装して作られており、地域の中学3年生〜高校生が自由に学べる場所として利用されています。
また学習だけでなく、将来の選択肢を広げる場として、いろんな職業の人に来てもらって話を聞くというイベントを定期的に行なっており、今回私が「みなかみ町在住の漫画家」としてお呼ばれした次第です。

今回のイベントでは、絵を描くことや漫画・アニメが好きで、その様な仕事に興味がある学生たちに向けて、私の職業=広告漫画家についてお話しさせていただきました。


漫画家という特殊な職業の話ではなく、クリエイターとして将来の選択に役立つ話を中心に

私は現在、企業や自治体、個人事業主などから直接依頼を受けて、広告や広報目的の漫画を制作するフリーランスの広告漫画家です。
いわゆる「雑誌やメディアで連載する漫画家」ではないので、もしかしたら学生たちをがっかりさせてしまうかもという思いもありつつ、少しでもクリエイターという生き方に興味を持ってもらえるよう内容を考えました。

この日学生たちには、

  • 私の学生時代と広告漫画家になった経緯
  • 絵や漫画を仕事にするとは
  • 仕事をする上で大切にしていること

などを中心に、色々話しました。


「絵がうまい」だけでは、仕事にはならない

私の仕事は「お金を払ってでも描いてほしい漫画」を作ることです。
そのためには、絵の技術に加えて、

  • 相手の話をよく聞くこと(ヒアリング力)
  • 提案する力(コミュニケーション力)
  • 納期や品質を守る力(スケジュール管理力)

といった、たくさんのスキルが求められます。

そしてそれは実際のところ、漫画家に限らず、どんな職業にも通じる話です。
「絵さえ上手ければ仕事になる」という幻想ではなく、「人の役に立ち、信頼を得ること」が、プロの仕事には大事だということを、実体験を交えてお伝えしました。

話の後半は、学生の質問に答える形でのトークコーナーに。
突然「質問ある?」と聞いても反応しづらだろうと、主催者が事前申込み時に質問を募集することを提案してくれたのですが、その形式でよかったと思います。

「いくら稼いでいますか?」
「絵を描くのがつらくなったことは?」
「どんなスケジュールで1日過ごしていますか?」

といった質問に答えていきました。


ワークショップ:広告漫画家の仕事を体験!

トークの後は、ワークショップも行いました。
ただ「漫画やイラストを描いてみよう」ではなく、実際の仕事に近い体験をしてもらうために、

  1. 広告漫画家(私)とクライアント(学習室運営スタッフ)のヒアリング場面を見学
  2. その内容をもとに「絵が入った漫画の吹き出しのセリフを埋める」「吹き出しが入った漫画のコマを絵で埋める」「マスコットキャラ作成」から好きな課題に挑戦

という実践的な内容にしました。

私としても、普段の制作フローを学生に見てもらうのは初めてのことで、良い緊張感と発見がありました。


視野を広げるきっかけになれば

このイベントを通して改めて思ったのは、“職業=何かに興味を持ち続けること”という点で、漫画を描く仕事は本当におもしろいということ。
そんな私の気持ちが少しでも伝わって、高校生の視野を少しでも広げるお手伝いができたなら嬉しいです。